自転車に乗った女子学生が私と同じ信号で止まった。
青に変わるまで何気なく視線を周囲に彷徨わせた先にいた少女は、茶色のトイプードルのような質感のミトンをはめている。親指と人差し指が独立して残りの三本は一緒になっているタイプだ。車に乗り込むだけでも肩をすぼめて大急ぎで運転席のドアを開けた私は、ふきっさらしの中、防寒対策をしているとはいえ無防備な姿で通勤通学する人たちに対して尊敬のまなざしだ。
少女は寒そうにミトンをはめた手をこすり合わせてその手を口元に持っていき、さらに吐息で温めようとした。
ミトンを通して、ましてや外気の中では吐息の温かさが十分に伝わるのか不明だ。しかし、彼女はそうせざるを得ないのだ。指先の感覚がミトンだけでは防御出来ないほど冷たくなっており、せめて信号待ちの間だけでも、と思ったのか。無意識の行動か。
2、3秒の出来事だった。直後には視線を目の前の信号機に移しており、やがて青に変わったので私はブレーキを離し彼女もペダルをこぎ始めたのだろう。
手袋をはめていても指先の感覚が一段鈍くなり骨の辺りから「冷え」を感じることは覚えがあるだけに、一見無意味に見える行動にも共感が芽生えたのか。
指先を吐息で温める。という古来からある仕草を現代の流行を体現したような女子高生がしていることにあわれを感じたのか。
なにはともあれめちゃくちゃ記憶に残っており、終日ふとした瞬間に彼女の手先事情を思い出す一日だった。
趣味の押し付けと思いつつ、子らには「日記は1日のことをまるまる書こうとせずに5秒のことを200字かけて書くと良い」と布教していたら、娘が“靴下をはいた状態で玄関に立ちサンダルと靴どちらを履こうか悩んだ”ことを日記に書いて習い事に提出していてさすがに私好みすぎてしまった。
— 古賀及子(こがちかこ)文フリ東京 ナ02 (@eatmorecakes) 2021年5月10日
古賀及子さんの布教に乗っかってみた。これで600時ほど。うまく推敲すればエッセイとして化けるかもしれない…と思いつつ投稿するよ。
水曜日なので相棒までに買い物してTSUTAYAに行って帰ったらお風呂に入って晩御飯を食べて……とせわしなく活動していたらお風呂から上がったタイミングがちょうど21時だった。晩御飯を食べながら見ることも一瞬考えたけれど、4つ*1のことを同時にできないので明日の朝の私に託すことにする。
…といいつつまだ日記を書いているからな!見る時間が無くなるぞ!!
*1:晩御飯を食べながら都相棒を見ながらTLを追いかけながら実況する