予備校の先生が推しがいるタイプの人だった。
いつもおしゃれで自分に似合うファッションが分かる人なんだと密かに感心していたが、ふとした瞬間に身に付けているアクセサリーが推しモチーフタイプのものだと判明したのだ。
我々の界隈でよく目にする手作りアクセの作家さんが作る推しモチーフの小物…のような手の込んだ擬態ではなく、おそらくSuperGroupiesのような公式コラボ商品っぽいクオリティだった。
日常生活で推しモチーフを身につけるタイプのオタクだ!!!!と気持ちがたぎり、公式が我々向けのグッズの販売に協力的なことで有名な巨大ジャンルに推しがいる羨ましさも感じつつ「公式がそういうグッズを出してくれるの、良いですよね~」といいながら別れた。
お互い具体的な作品名は口に出さなかったが、私も一時期追いかけていたジャンルなのですぐにピンときた。おそらく先方も、わたしが同ジャンルもしくは同じく何かしらの推しがいる同業者だと勘づいたような素振りだった。
社会人がインターネット以外でオタクを見つけるのはハードモードだ。というより、趣味を同じくするもの、ましてや自分と同系統の気の合うオタクと遭遇するのは至難の技だ。先生はイクトゥスではなく単純に好きだから身に付けているだけだろう。だからこれ以上距離を縮めようとは微塵も考えなかった。(そもそも先方のオタクとしての熱量も未知数だし、私はオタク友達を作るほど現在余裕がない)それでも島は違えど同じ海域に住まうもの同士よ……。と勝手な親近感は抱いてしまうよね!!!!
もうちょっと心に余裕ができた(全てが終わり合格した)ら、話しかけてみようかなと思いました。