肩甲骨が剥がれない

Twitterの補完版として始めたけれど、自分の備忘録状態。なるべく他人に読んでもらうつもりで書きます。

「ミュージカル生きる」今更感想

www.ikiru-musical.com


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鹿賀丈史さん、新納慎也さん、唯月ふうかさん、May’nさんの回を見てきました。


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観劇メモを取っていなかったので脳内記憶に頼る感想っていうよりメモ!!だから正確さは無いよ!!(いつもだけれど)

村井君や山西さんや鹿賀さんの演技をひしひしと見たかったんだけれど…*1

千穐楽ライブ配信を見るか考え中なので、もし視聴したら追記するかも。そう。ライブ配信があるのですよ!!果たして私の文章を読んで興味が湧いたわという奇特な人はいないと思うので、有益な感想サイトを載せておきますね。

 

musicalstyle.net

 

 

 

原作の映画版・ミュージカル共々がっつりネタバレしているのでワンクッション置いておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  •  小説家 !!映画では居酒屋から夜の街のシーンしか登場しないので、なぜWキャスト…?と謎だったけれど舞台と観客をつなぐ狂言回しだった。そしてただのストーリーテラーではなくて小説家サイドの物語も描かれて、渡辺と接することで変わっていく内面…。善…。
  • 映画は突如「これはこの映画の主人公の胃の中である」から始まって面食らってしまったので、小説家が渡辺寛治の人生を紹介→渡辺家の朝のルーティーン→市役所→陳情に来た女性陣が役所仕事でたらいまわしにされるシーンがキャスター付きのデスクと椅子が舞台を駆け回っていく様は「これぞミュージカル!!」と引き込まれた。
  • 渡辺寛治喋らない!!!あと凄くよぼよぼしていて(気の弱さもあるだろうけれど)今にも倒れそう。実際病人だけれど。私遅ればせながら相棒劇Ⅳで初めて鹿賀丈史さんの存在を知って「なんていい声の俳優さんなんだ!」とビックリした思い出があるので今回の観劇で鹿賀さんの舞台上の声を聴いてみたいというのが観劇の狙いでもあったんだけれど。でもパンフレット内で村井君が「全然喋らない主人公ですが、光男や一枝をはじめ周囲がかなり自分勝手に生きている分、感じが可愛そうにもなるし、感情移入してしまう。」と語っていて、まさにその通りや……。
  • 病院で「胃ガン、余命は半年」の宣告を受ける渡辺。映画版はそこら辺の患者が渡辺に色々吹き込んで、真面目なシーンなんだけれどどうあがいてもコメディでどういった感情で見ればいいんや……だったけれど、舞台は完全にコメディミュージカルだった。歌に乗せることで胃がんの宣告もシリアス過ぎずサラっと描いている。そして医者サイドもお役所仕事と似たような、厄介ごとには目をつむり同じ毎日を望んでいる様子がうかがえる。
  • 夜の街を小説家と渡り合う渡辺。軽薄で、淫靡で、猥雑で、一時の享楽とつかの間の鬱憤を晴らすようなエネルギーを感じた。ネオン光るステージで踊り回るダンサー達……!!
  • 光男とのすれ違いー!!光男夫婦はね、悪くないんだよ。っていうかこの作品で根本的に悪者は…助役とヤクザくらいか。映画版はもっと露骨に退職金を当てにしているとかどうのこうのって言ってたような気がしたけれど、ミュージカルはすれ違う父子の感情に焦点が当てられているよう…な…。このあたりうろ覚え。でも最後まで「なんで光男には全て喋らないんだー!」ともどかしさを感じた。しかしそれが親心…。
  • 「二度目の誕生日」!!映画のこのシーンが好きで、ミュージカルではどんな演出なんだろうとわくわくしていたの!!やっぱり最高…。口下手で無口な渡辺がとよの若さとエネルギーに圧倒されて彼女を追随していくんだけれど、とよは次第に渡辺を鬱陶しく感じていく。その演技がほんとに嫌そうで。だからこそ拒絶と自立を促すためにとよは「あなたも何か作ってみたら?」と告げるんだと考えてました。おもちゃ工場でウサギの電動ぬいぐるみを組み立てる作業を「日本中の子供達と友達になったみたい」と明るく話すとよなりのメッセージ。*2
  • 改めてその言葉を噛み締めると、仕事を淡々と終わらせるだけでなくて自分の仕事の先を見据えた未来図を…描いてみたら…目の前の仕事の意味も変わってくるよねっていう意味だと思う。
  • もちろん仕事に限ったことではなくて、家庭だったり子育てだったり人間関係だったりオタ活だったり、誰しも思い当たる普遍的なテーマだからこそ、これを戦後7年で作った黒澤明。改めて凄いな。そしてウサギのおもちゃを持ち歩くとよ。よほど今の仕事に誇りをもっているんだな…と羨ましくなった。
  • 鹿賀さんの歌声!!!さっきまでの余命半年っぷりはどうした?!?!ゴンドラの唄を歌った時は弱弱しく今にも掠れそうな声だっただけに、まさに生まれ変わった、二度目の誕生日を向かえたかのような朗々とした響き。すげえ。これが…鹿賀丈史…(ごくり)
  • ここで1幕終了。え、もう一時間経ったの?早くない?あと公園作りに精を出して…あの…ハートフルコメディミュージカルらしからぬ出来事が起きて…でも映画版と同じラストにするのかなぁ。有名なブランコのシーンはどうするんだろ。
  • 市役所で猛烈に働く渡辺。市役所セットには大きな時計が掲げられているんだけれど、その針がビュンビュンと回る*3流れる不穏な音楽………。1幕の希望に満ちたラストから予想されるエンディングとは違った出来事が起こりそう。
  • 暗転。舞台奥から遺影とクジラ幕が現れる。渡辺の唐突な死を突然目の前に突きつけられた。展開は分かっていたけれどやっぱりギョッとする。「生きる」というテーマだから反対の「死」をぶち込んでくることで「生きる意味」を益々感じられた。人の死は大抵思いもよらない方向でいきなりやってくる。そのリアリティと死ぬ時まで生き抜くというメッセージが組み合って、最良の化学反応を起こしていたなあとしみじみ思いました。
  • 葬式で渡辺の同僚や上司達に平身低頭な光男。光男…!!よく見えなかったんだけれど一枝のお辞儀が光男よりも浅いように見えて、はて…?と謎だったけれど、Twitterで「赤ちゃんが欲しいと言っていた一枝だけれど、葬儀のシーンで妊娠している」と解釈している人がいた。へ~~。
  • 小説家~~~!!個人的MVPは小説家です。映画では描かれていないミュージカルオリジナルの解釈?だろうけれど、渡辺の生きざまに感化され助役とヤクザの密会シーンを撮影して*4助役をゆするというシーンがすごく彼らしい。どっちがやくざだ。でも夜の街を知り尽くしている小説家の生きざまを見たようで解釈の一致~~!!と叫びたい。いやもうこれが聖典だよ。
  • とよと主婦たちが公園設立を祝って歌う「夢はつかみとるもの」で涙が出てきた。夢は見るだけではなくて自らの足で夢に近づき手でつかみ取るものなんだよなあ。彼女たちの底抜けに明るく希望に溢れた歌声が沁みたんだろうな。*5
  • ラストシーン。くるぞ…くるぞ…と待ち望んでいたブランコに揺れながら渡辺が歌う「青空に祈った」小説家から父の真実を聞いて泣き崩れる光男。小説家の頭上から雪がはらはらと落ちてくる。そして暗転幕が上がり、ブランコに乗った渡辺が「青空に祈った」を歌い始める。幕が上がると青白いライトに照らされ、しんしんと降り続ける雪と公園のセットと渡辺が見えて、その何とも言えない美しさに自然と涙がこぼれた。「ブランコに乗った息子の背中おして大きく揺らした時に初めて笑ってくれた(うろおぼえ)」って歌うんだよ!!光男の前で!!!そのブランコに揺られながら亡くなったんだよ~~~~。映画のラストはシニカルとさが感じられて好きな終わり方なんだけれど、ミュージカル版は別物として最高。父の真意を知ろうともしなかった後悔と父からの愛情の深さを知ってなぜ公園作りに命を燃やしたのかを悟る光男、を演じる村井良太君が最の高。
  • そして待ちに待ったカーテンコール。挨拶的なものを期待していたけれどこのご時世はしょうがないよね…。それでも感極まって立ち上がって拍手。動画の角度的に私の席と近そうだったので多分画面の黒い影の部分のどれかにいますw

 

 

*1:理由はこれ

 

ma00720.hatenablog.com

 

*2:本人は何気なく放った言葉かもしれないけれど。だからこそ彼女の本質が伺える。

*3:1幕の時、大きな時計だけれど何か仕掛けがあるのかな?と見ていたけれどまさかこんな高速で動くだなんて…

*4:人を雇ってパパラッチさせているけれど小説家が登場した瞬間あまりの格好良さに息をのんだ

*5:残念なことに歌詞等今まったく思い出せないんだけれど